ブログ|立川市ピアノ教室 セラ音楽教室(立川市上砂町)

Selah BLOG

2026.7.17 幼児ピアノレッスン

効率では育たないものがある

私がレッスンで、あえて「面倒なこと」をしている理由

最近、ある小説を読んでいて、ふと心に残った言葉がありました。
会社の中での、仕事に対する場面ですが

「質や内容にこだわっていたら回らない。数をこなすことを考えろ」
「人は基本的に面倒なことは避けたがる」
そんな趣旨の言葉でした。

その箇所を読んだとき、私は思いました。

私がしていることって、本当に面倒なことばかりだな、と。

でも同時に、
だからこそ、意味があるのだろう
とも思ったのです。

ピアノ教室のレッスンというと、
楽譜を読んで、弾いて、間違えたところを直して、次へ進む。
外から見ると、そういうふうに見えるかもしれません。

けれど実際には、そんな単純なものではありません。

同じ年齢でも、同じ教材でも、同じ言葉では伝わらない。
ひとりとして同じ子はいません。
だから、ひとりとして同じレッスンにはならないのです。

どうしたらこの子に伝わるだろう。
どうしたらこの子が分かるだろう。
どこでつまずいているのだろう。
今この子に必要なのは、励ますことだろうか、それとも立ち止まって考えさせることだろうか。

そういうことを、私はレッスンの間常に考えています。

音符が苦手で気持ちが止まってしまう子には、
どうしたら音楽への入り口を閉ざさずに済むかを考える。

ミスを怖がって動けなくなる子には、
「子どもなんだから、すぐにできるようになんてならないよ。
間違えて当たり前。間違えながら覚えればいい」
と伝える。

逆に、話をほとんど聞いていなくて、同じことを何度も繰り返してしまう子には、
「今、話を聞いていないから、同じところを何度も間違えるんだよ」
ときちんと伝える。

挨拶の仕方も。
物事の受け止め方も。
自分で考えて行動することも。
レッスンの中では、そういうことまで含めて育てているつもりです。

正直に言えば、効率はよくありません。

決まった型に当てはめて、同じように進めた方が、きっと早いのかもしれません。
もっとルーティン化して、もっと手間を省いて、もっと回転よく進めることもできるのかもしれません。

でも、それで本当に子どもが育つのだろうか。
私は、どうしてもそうは思えないのです。

教育というのは、本来、とても面倒なものだと思います。

  • 時間がかかる。
  • すぐには結果が出ない。
  • 遠回りに見えることもある。
  • 同じことを何度も伝えなければいけないこともある。

その「面倒」の中にしか育たないものがあります。

今の時代は、効率よく、無駄なく、簡単に、という価値観が強いのかもしれません。
面倒なことは避けられがちですし、人との関わりも、
なるべく負担なく済ませようとする流れがあります。

でも、子どもを育てることは、本来そんなに簡単なものではありません。
まして、心や考える力、自分で乗り越えていく力を育てようと思ったら、
なおさら、一人ひとりに向き合う時間が必要です。

私は、ピアノを教えているようでいて、
本当はそれだけではないものを、毎回レッスンしているのだと思います。

楽譜の読み方。
指の使い方。
リズム。
表現。

もちろん、それらは大切です。
けれど同時に、

  • 話をきちんと聞くこと。
  • 分からないままにしないこと。
  • 間違えることを怖がりすぎないこと。
  • できないことがあっても、すぐに投げ出さないこと。
  • 自分で考えて動こうとすること。

そういうことも、少しずつ育てていきたいのです。
手がかかることですし、効率のよさだけでは説明できません。

でも、その面倒さこそが、
その子の中に残るものを作っているのではないかと思っています。

すぐに形になるものばかりではないけれど、長い目で見たとき、
「あの時間があったから今がある」
そう思ってもらえるようなレッスンを、私はしたいです。

selah音楽教室が大切にしているのは、
ただ曲を弾けるようにすることではありません。

その子がその子らしく育っていくこと。
自分で考え、感じ、行動できるようになること。
そして、ピアノを通して、自分の中にある力に出会っていくこと。

そのために必要なら、私はこれからも、
効率だけでは測れない「面倒なこと」を、丁寧に続けていきたいと思っています。

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